粉骨のやり方(工程)
散骨の際には粉末状にした遺骨を撒くことになりますが、遺骨を粉末状にする過程を粉骨と呼びます。
この記事では、粉骨をする理由や方法について解説しますので、散骨をするまでの過程が気になるという方はご参考にしてください。
粉骨をする理由
遺骨の形が残っている状態で散骨することはできませんので、必ず粉骨を経る必要がありますが、何故粉骨をしなくてはならないのでしょうか。
始めに、粉骨をするべき理由についてお伝えします。
死体遺棄になることを避けるため
遺骨の形が残っている状態で散骨すると、死体遺棄罪に問われてしまう可能性があります。
法律上では遺骨であっても死体として扱われるため、遺骨と一目で分かる状態で散骨することで、死体遺棄と見做されてしまうからです。
罪に問われることを免れるためには、遺骨であることが外見から分からないように、細かく砕いた上で散骨する必要があります。
粉骨をする最大の理由とは、法律違反をしないためであると言えます。
散骨後に迷惑をかけないため
粉骨は法律対策のためのみではなく、他の人に迷惑を掛けないために行うという側面もあります。
遺骨の形が残っている状態で海に散骨してしまうと、網に引っ掛かってしまうなどして、漁師さんに迷惑をかけてしまったり、遺骨が発見されることによって、事件性を疑われてしまう可能性があります。
粉骨して遺骨と分からない状態にまで細かくしておくことで、第三者に迷惑を掛けることを避けることができます。
粉骨のやり方
散骨に際して粉骨が欠かせないことが分かったところで、粉骨の進め方を確認しましょう。粉骨は主に自分でやる方法と、業者に依頼してやってもらう方法の2パターンがあります。
いずれのパターンでも、遺骨の扱いについて決定づけることができるのは祭祀承継者であるため、まずは自分が祭祀承継者となる必要があるでしょう。
祭祀承継者とは、遺骨を処分する責任者となる人のことを指し、遺族の誰かが担うことになります。祭祀承継者の了解を得ないまま第三者が粉骨をしてしまうと、死体損壊罪に問われてしまう可能性がありますので注意が必要です。
上記の注意点を踏まえた上で、粉骨の手順を確認してみましょう。
自分でやる方法
遺族の方が自ら粉骨するのは精神的にかなりの負担となるでしょう。しかし、粉骨を自分でやりたいという方もいるでしょうから、ご自身で粉骨する場合の、大まかな手順をご紹介します。
湿気を取る
遺骨に湿気が含まれている場合、スムーズな粉骨がしにくくなってしまうため、一旦乾燥させる時間を設けましょう。1日~2日を目安に、十分に遺骨が乾燥したことを確認してから粉骨してください。
火葬後の遺骨に湿気が含まれている可能性は低いですが、埋葬されていた遺骨をお墓から取り出して粉骨する場合は、遺骨が湿っている可能性があります。
湿気によって遺骨にカビが生えてしまっている場合は、ガスバーナーで炙るなどして殺菌しましょう。水洗いによる洗浄は、更にカビを発生させてしまう原因となるため、乾燥後に殺菌することをおすすめします。
異物を取り除く
遺骨の中には、火葬の過程で紛れ込んだ金属片などが含まれている可能性があります。粉骨を行う前に、遺骨以外の異物はできる限り取り除いておきましょう。
粉骨する
ハンマーやすり鉢を用いて骨を砕いていきます。遺骨を粉末状にできるのであれば、どのようなやり方でも構いません。
2mm以下の細かい粒子になるまで砕くことが目安とされていますので、根気強く粉骨しましょう。火葬された段階で遺骨は砕きやすい大きさになっているものの、一人分の遺骨を砕くには一日ほどかける必要があると言われています。
体力的に自信が無いという方は、業者に依頼した方が無難でしょう。
真空パックにしまう
粉骨後の遺骨は真空パックにしまい、湿らせてしまうことのないようにしましょう。遺骨が湿ってしまうことで散骨がしにくくなったり、カビが発生する原因となってしまいます。
せっかく粉骨した遺骨を綺麗に保つためにも、粉骨後は放置せず、すぐに真空パックにしまうようにしてください。
業者に依頼する方法
個人で粉骨をするのは非常に大変であるため、粉骨業者に依頼するのが普通です。業者に依頼した場合、専用の粉砕機を用いて1時間程度で粉骨してくれます。
粉骨のみであれば1万円程度で請け負ってくれるため、一日中かけて自分で粉骨を行うくらいなら業者に任せてしまった方が良いでしょう。
業者によっては追加料金を支払うことで、粉骨以外のサービスを行ってくれる場合もあります。粉骨と散骨を同時に行ってくれる業者もあるため、信頼できる業者を見つけて、散骨までの一連の手続きを一手に引き受けてもらっても良いでしょう。
まとめ
散骨のために必須となる、粉骨の方法についてお伝えしました。
粉骨は自分で行っても問題はありませんが、精神的にも肉体的に負担がかかる作業です。できる限り信頼できる粉骨業者を見つけて、大変な作業はお任せしてしまうことを強くおすすめします。
業者に任せた場合でも、散骨の際は遺族で立ち会うことができるため、最期まで見届けたいという方でも安心して利用することができるでしょう。