散骨のルールとマナー
大切な人が亡くなった時に、業者に依頼せず自分で散骨したいと思われる方もいるでしょう。
この記事では、自分で散骨する場合の注意点についてお伝えします。
正しい手順を踏んで散骨しないと、周囲の人に迷惑を掛けてしまうことになるため、散骨のルールをしっかりと把握しておきましょう。
散骨する場所に関する注意点
散骨は海・山・空など様々な場所で行うことができますが、どこにでも散骨してよいというわけではなく、それぞれ散骨する際のルールが定められています。
それぞれの場所に関する注意点をご説明しますので、ご参考にしてください。
海で散骨する場合
私有地の存在しない海では比較的容易に散骨できるため、最近は海に散骨する「海洋散骨」が流行りつつあります。
国の法律でも規制されていないため、ある程度自由に海洋散骨することができますが、各自治体の条例によって規制されている場合がある点には注意が必要です。
自治体の条例であっても、罰則規定がある場合は違反をすることで犯罪と見做されてしまうため、国の法律に定められていないからといって甘く見てはいけません。
自治体の条例で規制さえされていなければ、海で散骨することは可能です。
山で散骨する場合
山などで散骨したいという方は、海洋散骨よりもハードルが高くなると考えておいてください。
陸地の多くは国有地・自治体所有地となっており、散骨の申請を行っても許可してもらえる可能性は低いです。
自治体によっては許可してくれる可能性もあるため、散骨したい地域の自治体に確認の連絡を取るようにしましょう。
私有地の場合、土地の所有者の許可さえあれば散骨は可能なので、個人で山を所有している人が身近にいれば、直接お願いをしてみるという方法もあります。
空で散骨する場合
空も海と同じく私有地という概念が無いため、散骨場所として人気が高まりつつあります。
しかし、空から散骨するためには小型飛行機などをチャーターする必要があるため、業者に依頼しない限りは実現することは難しいでしょう。
気球を用いて散骨する方法も考えられますが、破裂した風船が海洋生物に悪影響をもたらす可能性があるため、モラル的な面から望ましくないと言われています。
最も気兼ねなく散骨できるものの、高額となりがちなのが空からの散骨であると言えるでしょう。
散骨する際の注意点
散骨する場所に続き、実際に散骨する際に注意するべき点についてもお伝えします。
条例に触れないことも重要ですが、社会的なマナーやモラルについても意識しておく必要があります。
服装は平服が良い
葬式と言えば喪服ですが、散骨の場合は平服で参加することが推奨されています。式場のある通常の葬式とは異なり、散骨は海や山で行うことになります。
不慣れなボートに乗ったり、登山をする必要が生じる可能性があるため、安全を守るためにも動きやすい服装で散骨に臨みましょう。
どうしても喪服を着たいという方は、散骨場所に到着するまでは平服で移動し、到着後に喪服に着替えるようにしましょう。
土や落ち葉を被せない
散骨する際は、撒いた骨に土や落ち葉を被せないようご注意ください。
撒いた骨の上に土などを被せてしまうことで「埋葬」という扱いになり、墓埋法という法律に触れてしまう可能性があるからです。
日本においては埋葬に関する規定は厳しく、お寺などの限られた場所でしか許可されていません。
散骨が可能な場所でも埋葬は許されていないことが多いため、散骨の際は骨を撒くのみに留めて、上から何かを被せることのないようにしましょう。
遺骨とわからないように粉骨する
散骨する場合は、必ず事前に遺骨を細かい粉末状に加工する「粉骨」を行うようにしてください。
形が残ったままの遺骨を撒くことで、近隣住民が不快に感じたり、事件が起きたと勘違いする可能性があるからです。
散骨する際のマナーとして、必ず粉骨を業者に依頼して、遺骨を粉末状にしてから撒くようにしてください。
周りに迷惑がかからないようにする
法律で規制されていないからとはいえ、モラルの面から散骨を避けるべき場所があります。
養殖場や海水浴場など、遺骨を撒かれては困るような場所で勝手に散骨することはご法度であると覚えておきましょう。
散骨が原因で風評被害が発生してしまった場合、訴訟される可能性もあるため注意が必要です。
散骨をされて困る場所に対しては条例で規制されていることが多いですが、特に条例などが設けられていない地域も存在します。
違法ではないという点のみを見て安心すると危険ですので、散骨してもトラブルの生じない場所であるかという点についてもよく確認しておいてください。
まとめ
散骨を自分で行う際の注意点についてご紹介しました。
自分で散骨する場合、以下の点に関して注意深く確認してください。
・法律(墓埋法など)や自治体の条例に触れていないか
・周囲の人に迷惑が及ばないか
自分で散骨を行うことに不安を感じる場合は、散骨業者に依頼する方が無難でしょう。
業者に依頼する場合は、業者から説明されるルールに従えば問題ありません。